訃報(11/25)
「0-0」より。
タイムアップ病気療養中だったジョージ・ベスト氏がロンドン市内の病院にて息を引き取った模様。享年59歳。なおFAは週末に開催される全ての試合で1分間の黙祷を捧げることを決定。
クロムウェル病院広報「長く厳しい戦いを勇敢に挑んだジョージ・ベスト氏は当医院のICUにて力尽きました。当院全てのスタッフはベスト家の皆様に心からのお悔やみを申し上げます」
カルム・ベスト氏「父は天に召されました。私にとっては父親を失ったことになりますが、全ての人々にとっては愛すべき男を失ったわけです」
バーバラ・マクナリー女史:兄妹「家族の悲しみを言葉で表現するのは非常に困難です。しかし家族を代表しジョージの回復を祈ってくれたファンの皆様や医療関係者の皆様に心からのお礼を申し上げたいと思います」
トニー・ブレア英国首相「彼の世代の中では疑いなくナンバーワンのフットボーラーです。同時に英国が生んだ最高のフットボーラーの一人であると評価しています」
バーティ・アハーン:アイルランド首相「ジョージは常に私のスーパーアイドルでした。この島に生まれたベストプレーヤーというだけでなく、世界のフットボール史においても絶対に欠かすことの出来ない才能だと思います」
サ−・ボビー・チャールトン氏「マンチェスター・ユナイテッドが偉大なクラブと評価され続ける歴史を築いたのは、間違いなくジョージをはじめとする傑出したフットボーラーが懸命にプレーしてくれたからです。その中でもジョージは一際輝く本物のスターでした。彼のプレーを1度でも目にした人は誰でもジョージのプレーを真似たものです。ですが、それはジョージにしか出来ない天才的プレーだと直ちに悟ることになったのです。しかし誰もそれを妬んだりしません。なぜならジョージのプレーを見ることで全ての人々が素晴らしく満ち足りた気分になれたからです。フットボール界は偉大な才能を失い悲しみに包まれているでしょう。しかし私個人は心から愛する盟友を失った現実に、その心境を表現する言葉が見つかりません」
マンチェスター・ユナイテッド広報「ジョージ・ベストはユナイテッド史上もっとも偉大なフットボーラーの1人です。強靭な身体、タフな精神力、揺るぎない自信、そして持って生まれたフットボールの才能。彼の一番輝いた時がユナイテッド時代であったことは疑いようのない事実です。我々は彼を失った悲しみと喪失感に襲われています。しかし彼のスピリットと才気あふれるパフォーマンスは永遠に生き続けるでしょう」
ハワード・ウェルズ:北アイルランド協会CEO「フットボール界に途轍もない嘆かわしい日が来てしまいました。おそらくジョージほどの才能には二度とお目にかかれないでしょう。絶対にジョージの再来となる選手など現れません」
イングランド・プレミアシップ広報「フットボールに携わる方々すべてが偉大なる伝説に敬意を表して欲しいと心から願っています。彼の表現した技術と試合への熱意は我々の貴重な宝物なのです」
ブライアン・バーウィック:FA CEO「ジョージ・ベスト氏は英国が生んだ最大のフットボールのアイコンです。たとえどれほどの年月が流れようとも彼の業績が色褪せることはありません」
グラスゴウ・セルティック広報「ジョージ・ベスト氏は類い稀なるフットボーラーであり、永遠の存在です。我々はそのような偉大な人物に対し黙祷を持って敬意を表したいと考えています。彼の前ではどこのファンかなど問題ではありません。なぜならジョージ・ベスト氏は世界中のフットボール・ファンを虜にした天才なのですから」
ガゼッタ・デッロ・スポルト紙『さようならベスト。悲しい運命へと導かれた唯一無二の天才』「ジョージ・ベストは英国人の洗練さと南米人の足技を持つ稀代のロックスターだった」
レキップ紙『さらば巨星』「ペレやマラドーナは確かにフットボール界のスーパースターだった。しかしフットボーラーがスポーツの枠組みを超える存在となり得た全ての始まりはジョージ・ベストからだった」
スヴェン・ゴラン・エリクション・コーチ「彼のあのプレー。それこそがフットボールを愛する全ての人々の喜びであり、また希望でした」
サー・アレックス・ファーガソン・コーチ「ベストプレーヤー。これについちゃ誰にでも一家言あるはずだっぺ。だども英国においちゃジョージ・ベスト以上の存在はいねぇ。彼がいなくなってもオラっちには膨大なジョージの記憶があっぺ。今こそ存分にそれを楽しむ時だっぺ」
アルセーヌ・ヴェンゲル・コーチ「揺るぎないカリスマ性を発揮した真のスーパースターだ。彼のプレーはまるで芸術を見ているかのように美しかった。一度目にしたら絶対に忘れないね。今の我々に出来ることは彼の偉大なプレーを胸に抱き、その悲しみを紛らわすことだけだ」
ジョゼ・マウリーニョ・ドス・サントス・コーチ「彼の振る舞いや生き方はギャンブルそのものだった。しかしそれさえも魅力に変えてしまう不思議な力が彼にはあった。残念ながら面識はなかったんだが、私は親父から耳にタコが出来るほど彼の素晴らしさを叩き込まれている。親父の話には少々ウンザリしたが、彼のビデオは何度観たって絶対に飽きることはなかったね。私はジョージ・ベストのようなスーパースターに死という時が訪れるとは今でも考えていない。たとえ肉体は滅んだとしても、彼の遺してくれたものは我々の永遠の財産だ」
アラン・カービシュリー・コーチ「彼の病気に関する夥しい報道によってフットボールに興味のない人々もジョージ・ベストの人となりやプレーに興味を持ち、その映像を沢山見ることが出来たろう。どうか彼を忘れないで欲しい。そしてもっと彼のことを知って欲しい」
スティーヴ・ブルース・コーチ「私の時代のフットボール界のアイドルと言えばペレ、ベッケンバウア、クライフというのが定番だったが、ジョージ・ベストを忘れるような不届きものは誰もいなかったな」
マルティン・ヨル.コーチ「真の才能とは決して失われることはない。なぜならそれは神様から特別な人間にだけ与えられた貴重なプレゼントだからだ。決してトレーニングで身につくものじゃない。ジョージ・ベストに宿った才能は、まさにその代表格だ」
マーク・ヒューズ・コーチ「病に蝕まれている彼の姿は本来のジョージ・ベストじゃない。真のジョージ・ベストとは、赤いシャツを身につけピッチを駆け抜けたあの姿だ」
デイビッド・ヒーリー選手「数年前にお会いした時は子供のようにはしゃいでしまった。だってフットボールのアイコンと会うチャンスなど滅多にないからね。彼のサインの入った北アイルランドのシャツは今でも僕の大切な宝物だよ。僕にとっての最大の財産は、彼と会えたことだ」
デイヴィッド・ロバート・ジョセフ・ベッカム選手「マンチェスター・ユナイテッドが生んだ最大のレジェンドはジョージだ。彼と同じ7番をもらった時の喜びは言葉では言い表せない。彼がボールを持つだけで試合の空気は明らかに違う次元へと導かれる。そんな選手はいないよ」
テリー・ブッチャー氏「伝説とは彼のことを指す。天才の中の天才であり、考えられうる限りの全ての称賛の言葉がジョージ・ベストを表する言葉だ」
レイ・ウィルキンズ氏「もし全盛時代のジョージが今のプレミアシップに立ったとしたら、誰も彼を止めることは出来ないでしょう。そして今のアイドルは全て蹴散らされますね」
ギャリー・アームストロング氏「通りを歩けば全ての子供がジョージ・ベストになりきってボール蹴っていました。誰もが夢見るヒーローだったんです。ボールを持ったらなんでも出来る。そんな選手は彼だけですよ」
ロッド・ピートリー:ハイバーニアン会長「訃報を耳にした時は悲しみと信じたくない気持ちで非常に混乱しました。確かにジョージはマンチェスター・ユナイテッドの輝ける象徴でしょう。しかし我々のもとでプレーするジョージも間違いなく稀代の才能たる風格を漂わせていました。その能力にいささかの翳りもなかったと断言できます」
パディ・クリーランド氏「マンチェスター・ユナイテッドが好きかと言われたら必ずしも全ての人がイエスと答えるわけではないでしょう。しかしジョージ・ベストはどうか?と問われたら、おそらく大半の方が‘彼は凄い’と口にするでしょう。クラブの枠を超え、これだけ愛された人はいないでしょうね」
パット・ジェニングス:スパーズGKコーチ「ジョージの一般的な認識がウインガーか派手なポップスターというのは私に言わせれば不当なものだ。ジョージはピッチの至るところへ顔を出す真の働き者だった。私のところにボールが渡ると彼はいつだって最終ラインまで戻って来て‘オレに出せ’と主唱した。そこから彼のスーパープレーが始まっているんだ。当時のディフェンダーは誰もまともな対処じゃ彼を止められないから反則覚悟のタックルを挑んだものだが、ジョージは全てを軽くかわしてしまうので、みんなバツが悪そうな顔をしていたよ。あの小憎らしいお茶目なプレーこそが彼の真骨頂さ」
デイヴィッド・サドラー氏「1968年のユナイテッドにおけるあらゆるポジションのベストプレーヤーはジョージです。なぜなら全てのポジションで彼以上の優れたプレーを見せた者はいないからです」
ゴードン・マックィーン氏「何をやらかそうとも決して憎めない男だよ。だからこそ第二の人生においても素晴らしい可能性を得ることが出来たんだ」
レイ・ホートン氏「4つの時に初めてシューズを与えられたんだけど、それは紛れもなくジョージ・ベスト・モデルだった。私の周囲では山のようなジョージ・ベストもどきがいたね。それこそ誰もが彼のプレーを真似、彼になろうと必死に試みていた」
ボビー・キャンベル氏「なんということでしょうか。ジョージは誰にとってもまるで息子のように愛しい存在でした。私にとっては最高の選手ですね。後にも先にも彼ほどの選手はいませんでした」
イーモン・ダンフィ氏「ポップスターというのは必ずしも彼が望んだ生き方じゃなかった。本来は非常に内気で穏やかで繊細な性格なんだよ。あんな愛すべき男が逝ってしまうなんて何故なんだろうと思うね」
サミー・マックロイ氏「パーフェクトにして世界最高のフットボーラーさ。しかも誰にでも親切で、誰にでも寛大な男だった。こんな人物にはもうお目にかかれないよ」
マーク・ローレンソン氏「スーパースターという定義はジョージ・ベストから始まったと言っても過言ではないでしょう。英国史上最高の選手であることは言うまでもありません」
ジョニー・ジャイルズ氏「絶妙なボディバランス、類い稀なるスピード、何者をも怖れない勇気、ハードタックルにも負けない強さ、左右から繰り出される正確なキック、どれをとってもフットボールのお手本だよ。技術ではペレなど足下にも及ばない。フットボールに対する情熱ではクライフなど消し飛んでしまう。つまりベストがベストだ」
エウゼビオ・ダ・シウヴァ・フェレイラ氏「ジョージ・ベストは英国だけの宝じゃない。我々人類の宝物だよ。私にとっては敬愛すべき最高の友人だった」
SUN紙『ダイアナ以来の国葬』「妃殿下の葬儀では100万人の人々がロンドンの街を埋め尽くした。ジョージとのお別れはそれに匹敵するものとなるだろう」
ガーディアン紙『彼は人生そのものをプレーし、そして逝った』「ジョージ・ベストのプレーを観ることは1つの夢を実現させることでもあった。この国にフットボールという競技が生き続ける限り、ジョージ・ベストは常にその中心人物として語り継がれるであろう」
デイリー・エクスプレス紙『ジョージ・ベスト1946〜2005。‘ベスト’まさにその名の通り』「第2、第3のジョージ・ベストの出現を期待しても無駄だ。この地球上にはジョージ・ベストは1人だけであり、この後は伝説の中でしか見ることが出来ない。我々が最も完璧なフットボーラー像を想像するとき、それは単にジョージ・ベストを思い返しているに過ぎない。いいヤツだっただけに尚更罪な男だ」
デイリー・メール紙『悲しむな。今は彼を讃える時だ』「ジョージ・ベストを観ることはフットボールの虜になることを意味した。我々には彼の遺した遺産が山のようにある。その事実を喜び、彼を讃えようではないか」
インディペンデント紙『美しいフットボールの創造者』「その浪費癖、放蕩ぶり、ギャンブル中毒、分かっちゃいるけどやめられない性格、酒と女。我々は現代にイカロスを見たのだ」
ミニ・ミー副会長「規律も戦術にも関係なく絶対的な力で試合を決められる究極の才能だと思っている。そのような偉大な人物をアルコールにより失うなど本当に残念だ。しかし人々は決して彼のプレーを忘れないだろう」
ジャンニ・リヴェラ氏「英国のフットボールだからこそジョージ・ベストが生まれたという意見があるらしいが、それは1面でしかない。彼にはあらゆる限界を打ち破り、異なる次元へとフットボールを導く能力が確かにあった。しかし結果的には自らの過ちで身を持ち崩してしまったわけだが、どうかそのようなフットボーラーは彼1人だけで終わって欲しい」
ジャチェント・ファッケッティ会長「ジョージ・ベストは偉大なるフットボールと破滅的な人生という2つの教えを我々に遺した。死の間際に自分のような人生を送らないで欲しいと口にしたのは心からの実感だったのだろう。しかし彼の選んだ生き様もまた尊重されなければならない。あやゆる意味で型破りな人だ。もう二度と彼のようなタレントは出てこないだろうね」
ディエゴ・アルマンド・マラドーナ氏「小さな頃はジョージ・ベストのプレーを観て大変な刺激を受けた。華麗でスリリングなパフォーマンスは観る者だけでなくピッチに立っていたチームメイトもインスパイアされたはずだ。実はドリブルで勝負をかけるフットボール・スタイルや私生活でのやんちゃな面で私とは非常に共通点があると感じていたんだ。しかも去年の12月ごろは私が死ぬか行きるかの瀬戸際に立たされた。幸いにして今もこうして行き続けていられるけどね」
ヨハネス "ヨハン" クライフ氏「彼の才能は間違いなく天賦のものだ。いくらトレーニングを重ねたって絶対に身につかないよ。選手としては短命の部類に入るが、あれだけの底力を持った選手は本当に特別な存在だね」
ウェイン・ルーニー選手「ユナイテッドの英雄が逝ってしまって本当に辛い。僕がジョージ・ベストのプレーに影響を受けたのは事実だよ。いつになるのか分からないけど彼に匹敵するぐらいの存在だと認められたら嬉しいな」
ティエリ・ダニエル・アンリ選手「面識はないし、悲しいことに生でプレーを観たことがないから多くを語ることは出来ない。だけど彼が亡くなってからは連日スーパープレイの数々をテレビで観ている。ゴールの瞬間だけでなく、ゴールへ至るまでのその過程は僕にとって大変貴重な勉強の場だ。僕は常々出来るだけシンプルに手数をかけず効率的にプレーすることが重要だと思ってきたし、周囲からもそういう選手だと評価されている自負がある。だけどシンプルな中にも何か人の心に残るような工夫をこらすことも大事なんだって分かったよ。そういう意味ではジョージ・ベストは最高のエンターテナーだ」
追悼記念のスーパープレイ週はこちら。WMV17.46MB。 ……恐ろしや。ドリブルの切り返しと加速が異次元です。あと、ギグスが“べストの再来”と言われた理由がよく解ります。ドリブルの走り方がそっくり。
リアルタイムじゃなく「伝説の名プレーヤー」として認識してる自分にとっては、飲みすぎで病院に担ぎ込まれる→退院「もう酒はやめる」宣言→なぜかまた飲みすぎで(以下略)の無限ループとか、ついに肝臓がダメになって移殖手術まで受けたけどそれでも酒を止めなかったとか、99年CL決勝で「これはもうダメだ」とロスタイムで帰っちゃったら奇跡の大逆転劇を見逃したとか、そういう伝説に似つかわしくないネタを楽しんでおりました。協会やチームの要職に就いて堅実にやってる他の伝説な方々と違って、どうしようもないダメさ加減に親近感が湧くと言いますか、それでいてマラドーナみたいに堕落の仕方がドロドロしてなくて、どこかサッパリしてて。 そして、スタジアムに野郎の野太いチャントだけでなく女の子の黄色い声が響くようになったのは彼が出てきてからだそうな。これも凄い事でしょうよ、ねえ。 ともあれ、彼らしい最後だったんではないかな、と思います。 菊。