セレブ(プはレクサスでも乗ってろ

 つい「スカイライン」を付けて呼びそうになるアイツ。新型GT-R

 値段高杉とかこんな高性能要らんとか地球に優しくないとか、そういうちっぽけな世界感でこのクルマは語れないっす。そういう世界とは別次元で存在する、「究極のクルマ」を目指す競争に参戦するための、この国の自動車産業の切り札。それが新GT-Rです。
 そりゃ、もっとすげぇ「スーパーカー」ならいっぱいありますさ。でもそんな、アラブの王様ぐらいにしか買えないクルマに何の意味があります?
 目指すべきは、「最高の性能を、より多くの人に」。
 並み居るスーパーカーと互角に戦える性能を持ち、それらの数分の一、数十分の一の値段で買え、大衆車と同じ感覚で普通に乗って使える。現在そのポジションに一番近いのは、ポルシェ911でしょう。
 そう、いろんな所で言われてる事ですが、新GT-Rは、
 ポルシェ911を倒す』
 そのために生まれたのです。
 だから日産はこのクルマ、めちゃめちゃ売る気でしょう。別に日本で売れなくたって構わない。元々の顧客であった走り屋の兄ちゃん達なんてハナっから(値段で)切り捨ててます。そういう人たちはZ買いましょうZ、って事でしょ。あれ安いですから。そうじゃなくて、これは海の向こうの大陸に闊歩するポルシェ911の群れを駆逐するためのクルマ。911と同じぐらい速くて、断然安い。911GT3と比べりゃ半額ですよ。安いじゃないですか。大バーゲンじゃないですか。
 そりゃね、カッコ悪いスタイルですよ(笑)。ステータス性なんて微塵もない。でもそんなもの飾りです。クルマは美術品でもコレクターズアイテムでもステータスシンボルでもありません。「乗って走る」ためのものです。
 めちゃめちゃ速いですよ? その割に思いっきり安いですよ? 他に何が要ります? プライドもステータスも何もないから、こいつで冠婚葬祭出たっていいし、コンビニに乗り付けたって全然OK。これぞ、欧州北米の猿真似じゃない「日本的スーパーカー」。まさしくGT-Rじゃないですか。

 ……ぜえぜえぜえ。
 と、とりあえず、後はル・マンに出てコルベットアストンマーチンを蹴散らしてくれれば満足かな、うん。