よつばの。読書会持込本より

 http://d.hatena.ne.jp/oriskany/20070121
 って訳で、上記リストの中から一部の本について、解説を。
 全部はさすがに無理っす。順不同。あとできれば表紙画像も付けたかったけど、時間無しにて失礼。

「女子高生生体機構学」('95)「ちはやぶる桜小桜」('96)/こげこげHOUSE(コゲどんぼ)

 ご存知でじこ生みの親、ブロッコリー専属時代は社長より高給取りだったとも言われる(あくまで噂)あのお方。ちなみに私の中で「ファンロード」誌と言えば宮城とおこ・シラトリユリ・犬上すくね・六鹿文彦、そしてこの人……という印象が強かったり。偏ってますね、はい。
 そんな昔話はさておき、かなーり昔の本です。
 「女子高生〜」、企画ページとかもいっぱいありますが、合間にそれを挟んで進行する連作漫画が秀逸。たまたま同じクラスになった、下の名前が一緒な3人の女の子が主人公。友達付き合いをしつつも、性格も指向もそれぞれバラバラ。三者三様の経験をしながら、三者三様の3年間を歩んで行く…というお話。現代女子高生らしい背伸びっぷりがもう読んでて痛々しく(絵が頭身低いからさらにそう感じる)、最後もハッピーエンドでなくほろ苦い余韻を残して終わるのがまた良い。
 「ちはやぶる〜」、10ページ弱という短編ですが、台詞(ネーム)にご注目。一番最初の台詞=一番最後の台詞、2番目=ラスト前と、全体の台詞が中間点を挟んで前後対称。しかもそれが、1本の漫画として矛盾なく意味が通っているというテクニカルな一作。作者独自の発想ではありませんが、だからと言って簡単にできるものではないと思います、はい。

魔法少女R」('98〜'00)「松陰神社」('00〜'03)/蛸壷屋(TK)

 重量的に全巻持ってくるのはキツいのですが、だってしょうがねーじゃん!全部揃ってないと意味ないんだもん!
 パロディでもそうですが、他の人があまり書かない、妙に生々しくエゲつない展開がこの人の持ち味。その点で人によって好みが分かれるかと思いますが、私は好き。とりあえず、表紙の限りではそれぞれ魔法少女もの、巫女さんもの……と見えますが、ただの萌え本と思ってたらヤケドしますぜ(笑)。
 「魔法〜」、最終巻の怒濤の展開が超燃え。
 「松陰〜」は……首吊り。
 うん、首吊りだなあ……

「月の船」「三日月」「十三夜の月」「月」('99)/す茶らか本舗(大槻弘子)

 マルチ(HMX-12)本4部作。難点はどれが何巻目かぱっと見判り辛い所(笑)。リストと↑に列記した順…で合ってるはず。
 まあ、マルチ(HMX-12)シナリオっちゃー、ブレードランナーとか原作の電気羊とか、その辺から始まるアンドロイド物SFの古典というかお約束なテーマをなぞった物な訳ですね。で、それを「SF少女マンガ(萩尾望都とか日渡早紀とかな)」に膨らませるとこうなる、というのがこの本なんではないか、と。
 原作からはキャラクターの基本設定を持って来てるだけで、一応原作ストーリーの延長上を想定してはいるんでしょうが、ほぼ別舞台別物。朽ち果てる事なく、ただいつまでも主人を想い続ける……というメイドロボットの設定は少女マンガの文法と相性が良かったのかも、と今にして思う所。

HMX-12」('99)/共月亭(宮下未紀)

 上のす茶らか本舗の本と共に、自分的「3大マルチ本」の一つ。ちなみにあと一つは貧血エレベーターのアレ。
 短いです。短編です。しかし怖いです。「女の業」がむき出しになってて、読み終わると寒気がします。女って怖い……

「PROJECT-T」('02〜)/GGGファクトリー(小野沢はじめっ)

 葉鍵系走り屋マンガ。シリーズ全体では'00年刊行開始で今なお続刊中。全部揃えれば20冊以上、軽く万冊が飛ぶ(飛びました)というロングランシリーズです。さすがにこれは全巻持ってくる訳にも行かず、遠征編から北海道(Kanon)編・瀬戸内(Air)編・岐阜(痕)編までをチョイスしました。
 イニD好き・クルマ好きな人ならおススメ。戦いの舞台となる実在のスポットを筆者ロケハンの上で描いており、バトルシーンがガチです。どちらかと言うと、ドライバーの能力より、クルマの特性とそれを生かす走り方に重点に置いて盛り上げているのがイニDと違う所。「4輪駆動は必ずしも最速にあらず」というくだりには、なるほどなぁ、と。
 なお、現時点で登場する全車種、「グランツーリスモ4」で使えます。(笑)

観用少女」('98)/冗談じゃないよっっ!(門井亜矢)

 元ネタは川原由美子の同名の少女マンガ(名作)。それを自身が原画を務めた「下級生」のキャラでやった、という本。もの凄い、鼻血ものの組み合わせでありました。
 上手いです。この人もともとマンガが上手い人なんですよねぇ、セーラームーン時代から……
 ちなみに、故・岩田氏も雑誌のコラムでこの本を推してたとか。ペン入れしてないのが非常に残念、というのは氏に同意(笑)。

「佐藤さんと山田くん」('00)「Another Selection.」('01)/bolze.(rit.)

 ええ、信者と呼んで下さって結構です。
 「佐藤山田」、これ何が凄いって、結局挿れてないって事に尽きると思うんですが。なのにこれだけエロいってのは、すんごい。
 「Another〜」、何で氏のマンガが好きかってえと、大胆なコマ割りとその中の大胆な構図がとっても刺激的って事なんですが、それが極まってる本として、これを。

「創作少女」('96)/道楽者に月の冠(水人蔦楽)

 時代も変わったもんだなあ、と思います。
 テーマになっているのは、同性愛・トランスジェンダー・女性の社会進出といった極めて政治的な事柄。当時ではなかなか語り辛かったテーマを取り上げ、しかもその理想と軋轢を真っ正面から描くという、異様なまでにトンガった作品群でありました。
 あれから10年。描かれたテーマを巡る社会状況は、あっという間に、ずいぶんと様変わりしたように思います。あの頃を思い返しつつ、はたしてこれで良かったのか…と思いを馳せる所ではあります。ともあれ、この作品群の馬鹿正直さ、そしてテーマのシャレになってなさを上手くオブラートに包み、かつユートピア論に説得力を持たせてしまっているホノボノさは、今なお光り輝いていると思います。

「God's truth control」('98)/鴨はうす(つくりものじ)

 前に書いてます。こちらを参照。
 http://d.hatena.ne.jp/oriskany/20060321


同人誌即売会禁止令」('93)/コミティアパーソナルコミックス(檜出朗)

 もちろんフィクション。ただ、宮崎勉事件当時の同人業界の雰囲気を感じられる本でしょう。

少年フェイト」('06)/少年フェイト制作委員会。

 ……。

 馬鹿ですね。

 いや、褒めてますよ?